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一般の方との恋愛相談をさせていただきました。もう7年も前のことになりますね。40歳を超えている自分が年若い彼に想いを寄せているなどと自分から言い出すには、私もこんな仕事をしていますからどうしてもプライドが邪魔になってしまって悩みは深まる一方でした。お相手が一般の方となればなおさら、すれ違うばかりで、けれど諦めることもできなくて……。
桜田先生は私を特別扱いせず、想いを寄せる彼の気持ちをありのままに教えてくれました。私をどう思っているのか、歳の差や相性についてどう感じているのかもハッキリおっしゃってくださいました。耳が痛いお話もあったけれど、先生が示してくださった関係進展のために必要なことと待つべき時期は後から驚いてしまったほど正確でしたね。彼からの告白を受けて、今も交際を続けています。
桜田先生と初めてお話ししたころ、私は正直今の仕事を続けていく自信をなくしていました。同期に後れを取っている自覚もありましたし、何より周囲からの評価や噂を必要以上に恐れていました。ですが歳をとった両親は私が今更違う道を歩むなど、当然夢にも思っていない様子でしたし、他にあてがあるわけでもありませんでした。
先生は私と同じ数学の徒でもありますからお話は理論的であいまいな部分がありませんでしたし、いただいた助言はどれも具体的で、実際に効果に直結するものでした。私が気付いていなかった問題や、逆に私が既に得ていた好機や武器についても教えてくださり、現職での評価や待遇、実直に言えば収入の部分がそれまでとは全く違ったものになりました。大学外部からも声がかかるようになり、不安で不眠にまで陥っていた日々が、今となっては嘘のようです。
若い頃は「一生独身でもいい」と本気で思っていたのに、35歳を超えた頃でしょうか、だんだんと1人で迎える晩年が侘びしく思えて仕方なくなっていきました。それでも創作に打ち込んでいる間は不安が紛れて、焦燥が抑えられなくなったのは40歳を過ぎてからでした。
もう女として若いとは決して言えない自分が今から必死に結婚相手を探すのも恥ずかしくて、けれど将来を思うとぞっとするほど不安で寂しくて……桜田先生に出会わなければ今でも1人だったと思うと背筋が冷えます。先生は私に余計なことは言いませんでした。いつ、誰と、どこで出会うのか。相手はどんな顔で何歳で、どんな言葉で私に話しかけてくるのか、小説にするにはあんまり具体的すぎましたが、そのおかげで私は今の旦那に出会い、子供にも2人恵まれました。
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